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第8回 トラクションとは? [EHL理論]

さて、今回からは前回の予告通りトラクションのおはなしをしていきたいと思います。で、まず今回は「そもそもトラクションってなに?」ってところからおはなしします。

遊星ローラやCVTを調べてると「トラクション」って言葉が良く出てきます。なんとなく摩擦で動力を伝達する力みたいな理解でしたが、「フリクション(摩擦力)」と何が違うんでしょうかね?CVTなんかでは昔はトラクション方式とフリクション方式があったみたいです。といってもフリクション方式は廃れてしまいましたが。ただ、この例からも「トラクション=フリクション(摩擦)」ではないことがわかります。

ちょっと辞書で「traction」で調べてみると、「牽引力」という言葉が目に付きました。あと、自動車でトラクションというと、タイヤが路面を蹴って車体を動かす力のことを言うみたいです。グリップとの違いですが、グリップがタイヤと路面の接地力というか、摩擦性能全般を指すのに対し、トラクションはその中の駆動性能(車を前に進める力)のみに対して使われる言葉のようです。

で、ようやく本題ですが、タイヤの例にもある通り、トラクションはフリクションの一部と自分は捉えています。物体が接触すれば当然多かれ少なかれ摩擦力が発生しますが、この摩擦力のうち駆動方向に牽引する摩擦力のみをトラクション力と言うみたいです。

具体的に図で表してみますと、図1のようになります。図1は2円筒が左右に2つ並んでいますが、このうち右側の矢印Tがトラクション力を表しています。この図のイメージですが、上下円筒をWの荷重で互いに押し付け、上側の円筒をモータなりで周速U1で回し、接触部の摩擦力によって下側の円筒を回してると考えてみてください。上側の回転力を下側へ伝えてるのでこの摩擦力はトラクション力に相当しますよね?トラクション力はもちろん図のTのように互いに反対向きの力となります。作用反作用の関係です。で、下側の周速をU2とすると、一般的にU1>U2となります。

08_01_転がり摩擦とトラクション.jpg
図1.トラクション

じゃあ左側の2円筒のFはなんだということですが、これは一般的な転がり摩擦力を表しています。単純に転がり運動を妨げる力ですね。なので力の向きも単純に転がり運動に対して反対方向、つまり図1だと力Fの矢印で表す通り、上下円筒で同じ向きに働きます。トラクション力はU1>U2となるのが普通ですが、転がり摩擦はいつでも発生します。そしてトラクション力に比べて転がり摩擦力は無視できるくらい小さいらしいです。

ちょっと自信を持って言えないことなのですが、トラクション力の正体ってすべり摩擦なんですかね?タイヤが路面を蹴って走れるのってすべり摩擦力のおかげなんですよね?EHLでは油で動力を伝えるので正確には違うかと思いますが。なんかTとFの関係がすべり摩擦と転がり摩擦の関係に似てるような気がしました。


では今回はここまでにします。今回はほんとはもっと続きを書く予定だったのですが、けっこうな文量になってしまったので次回と分けることにしました。なのでかなり薄い内容になってしまいましたが、こういう言葉の定義なんかを理解してるかどうかでその後の理解度が自分はけっこう変わってくるのでいろいろ書いちゃいました。まあ、まとめると「トラクション=駆動力」の一言で片付く内容でしたが。

次回はトラクション特性についておはなしします。でわ。
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